アトリエ白美「渡辺肖像画工房」 渡辺晃吉
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- 平成13年11月20日(火曜日)
【晴】
今日も小春日和の一日となった。
陽気とはちがい、今の世の中は本当に皆大変な思いで生きているのだなと、ラジオを聞きながらつくづく考えさせられた。
昨日までは管理職として、多勢の部下を抱えて活躍をしていた人が、今日はスーパーの裏で雑用のアルバイトの仕事を、やっと手に入れて頑張っていたり、突然の病気のためやむなく退職した後、文字通りの職安通いの毎日。
そんな逆境の中でひとつだけ救いがあると言う。
それは生命がけといっても過言ではない状況を知る事で、今まで決して味わう事のなかった一種の開き直りの中から、不思議にも勇気が沸いてきたり、希望の光が見えてくるのだそうだ。
なるほどそんなものかも知れない。
世の中、意味のない苦難はないという事か。
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- 平成13年11月17日(土曜日)
【晴】
風もなく穏かに晴れているので、今日の野外レッスンは里山の風景を描くことにした。
本来は橋の袂から赤城山を写生する予定であったが、前回途中まで描いてあるスケッチブックを忘れてきてしまったというので、急遽変更となった。
現場に行ってみると、里山の山裾の集落の一軒が葬式だったので、遠慮して少し離れた場所からの写生となったが、儀式の進行に伴って、司会者の声や鐘の音、あわただしく出入りする人の気配などが風に乗って漂ってくる。
故人の冥福を離れた場所から祈りつつ、人々の生業を無心に包み込んで静かにそこに在る里山の存在が、心なしか普段より鮮明に伝わってくるような雰囲気を感受した一時であった。
合掌
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- 平成13年11月16日(金曜日)
【晴】
前の畑のオバさんからいただいた大根で、大根おろしを作り昼食の時に食べたが、少し量が多かったのか、そのあと胃が痛んで困った。
大根おろしは消化を助ける働きがあるのだろうが、あのピリッと辛い成分は結構刺激的で、それが痛みの元になるのだろうか。
これからは気をつけて食べることにしよう。
午後4時頃、東京のT氏より電話があり、肖像画制作に当っての細部の指示を受ける。
昼間はかなり激しかった西風もどうやら止んで、静かな夕暮となったようだ。ストーブをたかなくてもよいほどの気温も、さすがにこの時刻になると底冷えがしてくる。
そのまま仕事を続け、一段落したところで切り上げて帰路に着く。
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- 平成13年11月14日(水曜日)
【晴】
小春日和とはこんな日の事を言うのかと思うような、暖かな朝となったが、午後からは冷たい西風が吹きはじめて、南のひさしの日除けスダレがガラス戸に激しくぶつかって、大きな音を立てはじめた。
これからはこんな日が毎日となるので、今日はスダレを巻き上げた。
そのとたんに縁側いっぱいに陽が射し込んで、畳の方までとどくほどになっていた。
中には直射日光をさけなければならない物もあるので、日除けのための白いカーテンをおろした。
風はますます激しくなり、まだ4時を少し過ぎたばかりなのに外は既に薄闇がおりてきているようであった。
今朝の新聞の一面に、カブール陥落の記事が大きく載っていた。
記事によると北部同盟という組織も決して天使の集団ではないらしい。
ただの権力者交代に終わらねば良いが。
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- 平成13年11月13日(火曜日)
【晴】
午前中のレッスンの場所が道路工事のため使えないので、急遽室内レッスンに変更する。
今日は少し風があり、空気も冷たい。
室内もかなり冷えてきたのでストーブをたいてみた。
昼近くになるとさすがに気温も上昇し、ストーブを消す。
午後3時、東京からクライアントが来室する。
詳細を打ち合わせた後に駅まで送ったが、5時近くにはすでに日も暮れて、寒々しい風景が窓の外を流れていく。
ああもう冬が来るんだなあとしみじみ思う。
画室に戻り母屋に行ってみると、暗い昼間の中でテレビだけが妙に生々しく光っている。
画像の動きに合わせて、暗い室内に走馬灯のような色彩が飛び跳ねている中に、長イスに横たわる兄の姿が、まだらに浮び上がっていた。
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- 平成13年11月12日(月曜日)
【曇】
収穫後の手入れも終えたぶどう畑の脇を走っていると、所々にぶどうの房を残している畑を目にするのだが、あれにはなにか意味があるのだろうか。
葉は既に枯れてはいるが、まだ落ちずにいるので垂れ下るぶどうの房との色彩の組み合せは、かなり違和感がある。
まして、今日のようにどんよりとした曇日の中で見るそれには、晩秋のメランコリーが漂って少し重い。
少し早目に仕事を切り上げ、途中Y氏宅に立ち寄り、旧交を暖め、帰宅後すぐに床に入る。
いわゆるぶり返しというのをさけるための心遣い。
症状もどうやら峠を越えて、快方に向っている実感がある。
この忙しい時に病気なんかに負けてたまるか。
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- 平成13年11月10日(土曜日)
【雨】
朝、思いきって耳鼻咽喉科を受診する。
案の定、急性の副鼻腔炎になりかかっていた。このところのひどい症状の原因がこれでわかった。
「すでに経験されているのでよくお分かりとは思いますが、この病気はかなり危険で痛みも激しく、重症の場合は入院しなければなりません。今なら薬でたたけると思いますのでやってみましょう」
担当医の心強い言葉にホッと一安心し、点滴を受けて薬をもらい、冷雨の中を画室へと向う。
画室へ着くとストーブに火を入れ、母屋の様子を見に行く。
午後の野外レッスンを室内に切換えるための準備をした後に、せっかくのストーブなのできしめんとホウレンソウで煮込みうどんを作る。
一度では食べきれないが、火にかけておけば誰かが残りを片付けてくれるだろう。
夕方、電話での注文を受ける。
遠方からなので電話料金が大変と思い恐縮した。
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- 平成13年11月9日(金曜日)
【曇一時雨】
朝夕の底冷えが日増しに強くなって、今朝はかなり寒かった。
日の出も遅くなり、冬はもうそこまで来ている。
出掛けの硬い筋力が、画室への道の半分程で暖まって、着く頃には少し汗ばむ程になるのでありがたい。
周囲の色彩は次第に鮮烈さがおさえられ、中間色の穏かな色調に変化してなにか物淋しい気がする。
そんな中で、セイタカアワダチ草だけは、いつまでも少しどぎつい黄色を、あたりはばからず振りまいているようだ。
刈り入れの後の脱穀作業も既に終わり、田は切株の規則正しい配列を、少し寒々しくさらしている。
山の緑にも彩りが加わり始め、空には風の兆しがみえる。
角の万屋の店先に「年賀状有ります」の張り紙が出て、その前を通るたびに、なにか心の焦りを感じてしまう。
帰路、念のために着たタートルのセーターがありがたかった。
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- 平成13年11月8日(木曜日)
【晴】
熱も下がり悪寒も去ってだいぶ楽になったが、脱力感と節々の痛みが残っているので、静かに横になって一日を過ごす。
窓越しに見えるコスモスの群生が鮮烈に目を射っておもしろい。
心なしか他で見るより花が大きい。それに背丈も2mを越えて荒々しいまでの勢いで咲き乱れている。
おかげで生垣の隙間が塞がって、ちょうどよいボロ隠しだ。
午前中に一人、午後に二人新聞の営業員が来る。
それに宅配便が一回に、道を尋ねる人が一人。
熱でうなっていた昨日でなくてよかった。
表で物音がする度に誰か来たのかと落ち着かない。
その都度床から離れてみると、自分の足腰がかなりふらついているのがよくわかる。
思わぬときに体調をくずしてしまったが、これからは気を付けねばと反省した。
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- 平成13年11月7日(水曜日)
【晴】
子供の頃、よく風邪をこじらせて高熱に苦しんだ。
そんなある夜、熱のために半分意識が濁っている身に、隣の部屋で話している幾人かの大人達の様子が伝わってきた。
極寒のシベリヤの大地に抑留されて、九死に一生を得て日本に帰ることができたその人の話し声が、快ちよく耳に響いて、いつの間にかこの身がシベリヤの雪の上に横たわっている場面を想像しながら、およそ考えられない程の悲惨な状況に思いをめぐらしていた。
その体験の後に、発熱するときまって体中をシベリヤの極寒の大気が吹雪と共にかけ巡った。
今日、這うように帰宅し、布団に潜り込んだ直後、テレビに映っていたのは、劇団四季の「異国の丘」のコマーシャルだった。
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- 平成13年11月6日(火曜日)
【曇夕方から西の風】
今にも一雨来そうな雲行きの中を、びくびくしながら画室への道を急いだ。
今日は合羽を家に置いてきてしまったので、降られたらアウト。
どうにか間に合って画室に到着。
午前中の塾生と野外レッスンに出掛けたが、時々時雨となる。
その都度車の中に逃げ込み、車中からのスケッチとなる。
この季節、グレートーンによる彩色が増えるので、色を汚さぬように充分な注意が必要となる。
その代わり、上手に着彩できれば、奥深く格調高い作品が描けるようだ。
今日のレッスンはその辺をテーマにしたもので、透明な大気と、やや曇った天候が最適な条件を付与してくれる。
昼近くまで描き続け帰路につく。
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- 平成13年11月5日(月曜日)
【晴のち曇】
遅咲きの朝顔と共存していたコスモスが、今菊と共に咲きほこっている。
なんと息の長い花なのだろう。
しかも清純で控え目な美しさは、他に類を見ない。
画室までの道程にある、いくつかのコスモスポイントは、まだまだ目を楽しませてくれる。
そう言えばからたちが黄金色の実をたわわに付けている所があったが、あれはどこだったろうか。
画室近くの葡萄畑で、老夫婦が今年世話になった葡萄の木の手入れを始めている所に出会った。
ああもう秋が終るんだなと思い、少し淋しかった。
まだ庭にモズの姿も見えないし、あの独特の鳴き声も聞こえない。
冬の到来までもう少し間があると思うと、何だか得をしたような気分であった。
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- 平成13年11月3日(土曜日)
【曇のち雨】
今日は姉の家の法事。
家内と共に他の兄弟達と落ち合って、定刻30分前に寺に赴く。
早いもので義兄の逝去から6年の歳月がたったのだ。
もう45年以上の昔になろうか、家のすぐ裏に引っ越してきた家族の中に、一人の大大びた青年がいた。
その青年がいつのまにか両親のもとを頻繁に訪れ、やがて、家族ぐるみの付き合いとなり、その青年はすぐ上の姉と夫婦になった。
それぞれの人生の一部を重ねながら年月が経過し、良き事、悪しき事、様々の出来事を積み上げて、兄弟姉妹の中で一足早くこの世を去り、今我らを天の高みから見守っている義兄の魂の安からん事を。
今日鎮魂の日にふさわしく、夕方から浄めの雨となる。
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- 平成13年11月2日(金曜日)
【晴】
長女の大学推薦入試の日がせまってきたのに合せて、入学資金貸付の申込みなど不慣れな事を、家内共々たどたどしく準備しながら、子供の将来への道が、こんなにも多勢の人達の職能と労力によって開かれているのに今更ながら気付き、ただ感謝のみであった。
担任の先生、学校事務局の皆さん、受付金融機関、銀行、役所などの窓口の人達。皆それぞれが日常の業務を淡々と果しているだけで、決してこの人のお子さんのためにと思っている訳ではないにしても、その無心の関り合いが、子供の未来への道の灯火であり、道標である事に変りはない。
「それでは後日結果をお知らせします」一時間余の応対の後に、そう答えてくれた窓口のお嬢さん。
「お待たせしました。印鑑証明一通ですね」わずか数秒の会話でカウンターの奥に去った、役所の若い職員さん。
「そうぞこちらの窓口へ」受験料の振込を扱ってくれた銀行窓口のお嬢さん。
幾筋もの糸で綾なした繭床のように、人は知らずに、他の人によって生かされているという真実を、この年になってやっと気付く己の愚鈍さに汗顔赤面の今日この頃である。
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■アトリエ雑記は平成12年12月15日からスタートしました。
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